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Transcription
- 翌日
- クノイチ・シデン:
……
- やあ。
- クノイチ・シデン:
何をしに来た…?昨日帰ったのではないのか?
- 帰ったよ?オルカに。
- クノイチ・シデン:
普通あの流れで帰ると言ったら、北海道を去るじゃろう……
- クノイチ・ゼロ:
あはは……まぁ普通ならそうでしょうね……
- クノイチ・カエン:
殿、普通じゃないから……
- クノイチ・シデン:
……それはもう知っておる……
- クノイチ・ゼロ:
それに、まだ師匠とお別れはしたくなかったでござる。
- クノイチ・カエン:
うん。まだ師匠と話したいこと、たくさんある。
- クノイチ・シデン:
……
- クノイチ・シデン:
それはよいとして……人間、おぬしはヨーロッパに帰らなくてよいのか?
- 帰るよ?でもまだ片付いてないことがたくさんあるから…
- 主人公:
- 俺たちはまだここに来たばかりだし、そもそもの目的であるセントオルカの
回収も出来てない。 - 主人公:
- もうしばらくはホッカイドウにいるつもりだ。
- それに君の刻駆けの術はまだ解除出来てない。
- クノイチ・シデン:
要らぬ世話じゃ。さっさと帰れ。
- クノイチ・エンライ:
初代様……どうしてそう意固地なのですか?
- クノイチ・エンライ:
例え大丈夫だとしても、苦しみはあるはずです。
- クノイチ・シデン:
……苦しみなどとっくにもう慣れた。
- 主人公:
- シデンは深いクマが刻まれた目で言う。
- クノイチ・シデン:
儂はこれから用がある、もう行ってよいか?
- クノイチ・ゼロ:
どこに行かれるのですか?
- クノイチ・シデン:
狩りじゃ。
- クノイチ・ゼロ:
おお!では、拙者たちもついていってよろしいでしょうか?
- クノイチ・シデン:
……は?
- クノイチ・ゼロ:
いいですか?御屋形様!
- 俺は大丈夫だよ。行っといで。
- クノイチ・シデン:
しかし、おぬしたち…人間の護衛でついて来たんじゃろう。
- 主人公:
- すると後ろについていたリリスが前に出る。
- ブラックリリス:
ご心配なく、ご主人様は私がお守りしますので。
- クノイチ・エンライ:
わたくしもおります。
- クノイチ・シデン:
……邪魔だけはするなよ……
- クノイチ・カエン:
うん、行こう。師匠。
- 主人公:
- そのままシデンはゼロとカエンを連れて山の方へと駆けていった。
- 逃げられちゃったね…
- クノイチ・エンライ:
申し訳ございません……
- エンライが謝ることじゃないよ。
- ブラックリリス:
ご主人様がここまでされる必要はないと思いますが……
- 主人公:
- 時を少し遡って、昨日……
- 主人公:
- シデンとの話を終え、俺たちがドームの出口へ向かっていると……
- 主人公:
- レイをはじめとするドームの住民たちが駆け寄ってきた。
- クノイチ・レイ
56号:
人間様!
- ブラックリリス:
……
- 主人公:
- リリスが俺を守るために俺の前に出る。
- 大丈夫だよ、リリス。
- ブラックリリス:
はい。
- どうした?
- クノイチ・レイ
56号:
シデン様とのお話は…どうなりましたか?
- うーん……
- クノイチ・エンライ:
一応わたくしたちを解放してそれで終わりです。
殿がオルカに誘いましたが、来る気はないそうです。 - クノイチ・レイ
56号:
……
- クノイチ・レイ
56号:
あの…一つお願いがあるんです。
- クノイチ・エンライ:
お願い?
- クノイチ・レイ
56号:
はい…
- 主人公:
- レイは胸の前で手を組んで深呼吸をした。
- クノイチ・レイ
56号:
シデン様の刻駆けの術を解除してほしいんです……
- クノイチ・エンライ:
もちろんそれも殿は提案されましたが、初代様は断られました。
- クノイチ・コノハ
51号:
そんな…!
- クノイチ・コノハ
51号:
シデン様は滅亡前からずっと刻駆けの術がかかっていて…
苦しんでるんです…… - クノイチ・コノハ
51号:
しっかり眠れてないはずなんです……
- クノイチ・コノハ
51号:
きっとこのままでいたら……精神か体が壊れてしまうかもしれません。
- クノイチ・レイ
56号:
お願いです……
- クノイチ・レイ
56号:
私はどうなってもかまいません。
何でも協力しますので……シデン様の刻駆けの術を解除してあげてください! - クノイチ・コノハ
51号:
お願いします!人間様!私もどうなってもかまいません!
代わりにオルカに来いと言われれば、行きます! - クノイチ・コノハ
51号:
お願いします!
- 主人公:
- バイオロイドたちが次々と頭を下げる。
- クノイチ・ゼロ:
レイたちは御屋形様のことを解っていないでござるね。
- クノイチ・カエン:
うん。
- クノイチ・カエン:
わかって、ない。
- クノイチ・レイ
56号:
え……?
- 主人公:
- 俺はそもそも最初からシデンの刻駆けの術を解除する気満々だ。
- 三顧の礼って言うだろ?
- ブラックリリス:
シデンにどうしても戦力として合流してほしいとか……
そういう場合ならまだ分かりますが…… - ブラックリリス:
それとはまったく状況が違うじゃないですか……
- クノイチ・エンライ:
……リリスさんの言うとおりです。
- クノイチ・エンライ:
このまま初代様が殿のお気持ちを拒絶するというのなら、
見切りをつけてヨーロッパへ帰りましょう。 - 主人公:
- 正直意外だ。エンライにとってもシデンは親に近い存在だと思ったのだが…
- ブラックリリス:
意外ですね?最終的にあなたとは意見が対立するかと思っていました。
- 主人公:
- 俺はリリスの言葉に頷いてみせる。
- クノイチ・エンライ:
初代様は確かに師匠です。
尊敬もしておりますし、親のようにも思っております。 ですが、わたくしはオルカで復元された個体です。 - クノイチ・エンライ:
大戦乱の時に一緒に過ごした記憶はあれども、
“あの時”のわたくしではありません。 - クノイチ・エンライ:
そして何よりわたくしは“くノ一”……殿の剣でございます。
- クノイチ・エンライ:
殿のことを第一に考えるのは当たり前です。
- クノイチ・エンライ:
これはわたくしの中にあるくノ一としての意地…
もしかしたら伝説に植えつけられただけの感情なのかもしれませんが… - ブラックリリス:
……
- 主人公:
- エンライの表情はとても見切りをつけていいと思っているようには
見えなかった。 - まだ日本にはいないといけないし、それまでは粘ってみるよ。
- クノイチ・エンライ:
はい…
- 翌日
- クノイチ・シデン:
……
- やぁ。
- クノイチ・シデン:
また来たのか……
- うん。
- クノイチ・ゼロ:
師匠!拙者も来たでござるよ!
- クノイチ・カエン:
カエンも、いる。
- クノイチ・シデン:
おぬしたちなぁ……その人間を止めんか……家臣じゃろうが……
- クノイチ・ゼロ:
そう!家臣だから御屋形様のしたいことをお手伝いしているのでござる!
- クノイチ・シデン:
ものは言いようじゃな……
- クノイチ・シデン:
それで?またおぬしは昨日と同じことを言うつもりか?
- そうだね。でも、今日はデザートを持ってきたよ。
- クノイチ・シデン:
デザート?
- こういうのはずいぶん食べてないんじゃない?
- クノイチ・シデン:
まぁ…そうじゃが…
- クノイチ・ゼロ:
オルカのデザートは美味しいですよ!
- クノイチ・カエン:
デザートだけじゃなく、料理もおいしい。
そして、カエンの寿司も美味しい。 - クノイチ・ゼロ:
今日はたくさん持って来ましたから、師匠も配るの手伝ってください!
- クノイチ・シデン:
お、おぬしたち…何を勝手に……
- クノイチ・ゼロ:
ほら、行きましょう!
- 翌日
- クノイチ・シデン:
……
- やぁ。
- クノイチ・シデン:
また来たのか……
- クノイチ・シデン:
今度は何をしに来た。
- 何ってそれは、君の時間認識のことだよ。
- クノイチ・シデン:
要らんと言っておるじゃろう……
- クノイチ・シデン:
なぜそうしつこい……
- 苦しんでるなら何とかしてあげたいと思うのは普通だろ?
- クノイチ・シデン:
言っていることはわかる。
- クノイチ・シデン:
じゃが…
- クノイチ・シデン:
儂は人間は嫌いじゃ…許しておらん。
いや……許してはならんのじゃ…… - クノイチ・シデン:
儂が許せば…儂が殺さねばならなかったあの子たちの死を……
恥辱にまみれ、理不尽に殺されたあの子たちの死を……誰が怒ってやるのじゃ。 - クノイチ・シデン:
誰が覚えてやるのじゃ……
- 主人公:
- シデンは拳を握り、それをじっと睨みつけている。
- クノイチ・シデン:
おぬしにはおらんのか?そういう存在は……
- うーん…
- 主人公:
- 確かに許せないと思った存在はいる。
そして、俺の目からしても滅亡前の人間の残忍さは目に余る。 - 主人公:
- だから、人間にこれだけの憎しみを抱いているのは解かるつもりだ。
まぁ、俺がシデンの憎しみを完全に理解できているとは思わないけど… - 主人公:
- でも……
- ここのみんなが…俺に頼んできたんだよ。
- クノイチ・シデン:
……
- 自分たちはどうなってもいいからって。
- クノイチ・シデン:
……
- もちろん頼まれたから解除しようとしてるわけじゃないよ。
- クノイチ・シデン:
あのたわけどもが……
- とりあえず術を解除して、それから人間を恨むのは…どう?
- クノイチ・シデン:
……
- クノイチ・シデン:
……ははは……
- クノイチ・シデン:
はははははははははっ!
- クノイチ・シデン:
おぬしは……本当におかしな奴じゃ!人間を恨むのはどう?ときたか!
- 主人公:
- シデンは口を大きく開けて笑い始めた。
しまいには地面に倒れ込んでひーひー言っている…… - クノイチ・シデン:
……ふぅ……久しぶりに大笑いしたわい……
- 笑い過ぎだろ……
- クノイチ・シデン:
……はぁ……
- クノイチ・シデン:
おぬしは……
- ん?
- クノイチ・シデン:
- 「ほんとうに優しい人間じゃ」
- クノイチ・シデン:
- じゃが、その言葉は口にはできんかった。
- クノイチ・シデン:
いや……
- クノイチ・シデン:
……
- クノイチ・シデン:
それでも……儂はおぬしに助けられるわけにはいかん……
- クノイチ・シデン:
去れ。
- クノイチ・シデン:
- この人間の手を取れば、きっと儂の人間への憎しみは弱くなる。
儂は…それが怖かった。 - クノイチ・シデン:
- 翌日もあやつは来た。
- クノイチ・シデン:
- その翌日も……またその翌日も……
- クノイチ・シデン:
- そうやって一週間が過ぎた。
- クノイチ・シデン:
- ここの者たちはとっくに人間に心を開いているようじゃった。
- クノイチ・シデン:
- それでいい。
もしあの子たちがオルカへ行きたいと言うのなら引き留めはしない。 - クノイチ・シデン:
- 自分の幸せは元来自分の手で掴むモノなのじゃから……
ここでの生活はきっといつか行き詰まる。 - クノイチ・シデン:
……ふん。
- クノイチ・シデン:
- 儂自身、オルカに行けばあの子たちが幸せになれると思っているのじゃな…
- クノイチ・シデン:
- そうじゃな、いっそのこと…儂以外の全員をオルカへ行かせるのも
ありかもしれん…… - クノイチ・シデン:
- 儂はあやつが帰ったあと、そんなことをひとり考えていた……
- クノイチ・シデン:
- 今日は服を大量に持ってきておった。
- クノイチ・シデン:
- 儂にも「ギャルになりたいならピッタリの服がある」と言って
何着か渡してきた。 - クノイチ・シデン:
…たわけが……
- クノイチ・シデン:
- 自分でも口元が緩んでいるのが分かった。
- クノイチ・シデン:
……
- クノイチ・シデン:
- その夜…オウカ、スミレ、ハツナが儂の部屋にやって来た。
- クノイチ・シデン:
- 三人は一様に口を真一文字に閉じて、儂を見つめていた。
- クノイチ・シデン:
- この顔は知っておる……
- クノイチ・シデン:
- 斬り合う前の顔じゃ……
- クノイチ・シデン:
ここじゃと邪魔も入ろう……、外に出るか。
- クノイチ・エンライ:
はい。
- クノイチ・シデン:
- 儂らはドームの外へ出た。
夜空の星は美しく、月明かりが儂らを照らしている。 - クノイチ・シデン:
で?そんな顔をして……どうした?
- クノイチ・エンライ:
もう、わたくしたちがここに来て一週間以上が過ぎました。
- クノイチ・シデン:
そうじゃな。レイたちも…ずいぶん楽しそうな顔をするようになった。
- クノイチ・エンライ:
すべて殿のおかげでしょう。
- クノイチ・エンライ:
殿は強く、優しく、万人に光を与える方です。
- クノイチ・エンライ:
今までもずっとこうして誰かを救ってきました。
- クノイチ・シデン:
……
- クノイチ・エンライ:
それは初代様…あなたも初めて殿と話した時から…
お解かりになっていたのでは? - クノイチ・エンライ:
あなたはわたくしたちにオルカを捨てろと言いました。
そんなこと…人間が命令すれば、すぐに防がれるというのに。 - クノイチ・エンライ:
あなたは殿のことを解かっていて、ああ言った。
- クノイチ・エンライ:
……そして、殿は未だに初代様に命令していません。
命令すれば済むのに…毎日あなたのもとを訪れ、説得しようとしている。 - クノイチ・シデン:
……
- クノイチ・エンライ:
いつまで殿の優しさに甘えるのですか?
- クノイチ・シデン:
……甘えてなどおらん…あやつが諦めてこの地を去ればよいだけじゃ。
- クノイチ・シデン:
- 何もかも図星じゃ。
儂の術を解くとしても、ただ命令してオルカへ連れて行けばそれで済む。 最初から何もかも…… - クノイチ・シデン:
- じゃのに、あやつは毎日やって来ては優しく話しかけてくる。
あんな人間を儂は見たことがない。 - クノイチ・シデン:
- あの泣き虫ですら最初から儂らを下に…物として見ておった。
- クノイチ・エンライ:
そうでしょうね。
- クノイチ・エンライ:
ですが…殿は……あなたが頷くまで諦めません。
そういうお方です…… - クノイチ・シデン:
……
- クノイチ・エンライ:
殿は…オルカは…絶望に陥った者たちのために戦っています。
本気でわたくしたちバイオロイドを…いえ、世界を救おうとしておられます。 - クノイチ・エンライ:
殿は間違いなく…新たな世界を創った英雄となり、
後の世に語り継がれるでしょう。 - クノイチ・エンライ:
そんな殿の歩みを止めないでください。
- クノイチ・シデン:
…ではどうするというのじゃ?……おぬしが力尽くで言うことを聞かせる気か?
- クノイチ・エンライ:
ええ。そのつもりです。
- クノイチ・エンライ:
わたくしはくノ一、殿の剣…殿の望みを叶えることこそが
わたくしの役目でございます。 - クノイチ・シデン:
ふん。無理矢理に誰かを救うなど……それはただの救う側の傲慢じゃ。
そんなやり方、あの人間が認めると思うてか? - クノイチ・エンライ:
認めないでしょう…きっとお怒りになるでしょう……
そして、わたくしに失望するでしょう。 - クノイチ・エンライ:
ですが、それが何ですか?殿の歩む覇道に邪魔な小石があれば
殿に仕えるくノ一として、それを取り除くのは当然のこと……! - クノイチ・エンライ:
わたくしも……あなたでなかったなら、こんなことはしないでしょう。
ですが…あなたもわたくしもくノ一…… - クノイチ・エンライ:
これ以上の理由は必要ない。
- クノイチ・エンライ:
あなたがその意思を貫くというのなら、わたくしたちを斬ればいい。
- クノイチ・エンライ:
それだけです。
- クノイチ・シデン:
……
- クノイチ・シデン:
邪魔な小石ときたか……偉くなったもんじゃのう……オウカ……
- クノイチ・シデン:
忘れてはおらんか?おぬしらは…一度たりとも“この儂”に
勝てておらんということを… - クノイチ・エンライ:
関係ありません。オルカのくノ一は伊達ではありませんので。
- クノイチ・エンライ:
シデン…いえ、ムラサキ・ナデシコ…今からあなたを…斬る。